(画像提供:いらすとや さん)
いくつもの病院を渡り歩く「ドクターショッピング」、褒められた行為でないことは確かですが、関節リウマチの場合、時には必要な行為なのかも知れません。
関節リウマチと診断されて約一年、4回も転院してようやく、通える範囲で信頼のおける病院に出会うことが出来ました。関節リウマチと診断されたけれど、病院の治療方針に不安を感じる、医者の言うことを信用できない、と感じている人の参考になればと思い、私の体験談を書くことにしました。
血液検査はほぼ正常値
まずはじめに、私のリウマチは血液検査に出にくいようで、動けなくなるほど痛くてもCRP定量、MMP-3は基準値内に収まり、RF定量と抗CCP抗体だけが高い状態でした。
発症時は靴を履くたびに激痛に襲われ、針山を裸足で歩いているかのような感覚だったし、肩を動かす度に痛みで呻いてしまう状態だったにも関わらず、検査ではほとんど健康と出てしまっていました。
また、首筋に激痛がはしって動けなくなったために救急車で運ばれた時も、血液検査ではリウマチと出ませんでした。
病院探しの経歴
近所の整形外科
最初は手根管症候群と診断され、2ヶ月ほど大量の消炎鎮痛剤やビタミンBを飲んでいましたが、全く改善しないので「念のため」に受けた血液検査でようやく「関節リウマチ」と診断されました。
血液検査の際に「リウマチかも知れない」と言われていたので、検査結果が出る前から、最近のリウマチ治療では、とにかく早く抗リウマチ剤を飲んで骨を守るのが主流だというのは調べて知っていました。
そして検査結果が出てリウマチと診断された時、お医者さんから「この程度の数値なら、しばらく痛み止めを飲んで様子を見ましょう」と言われたので、「ここはリウマチに詳しくない病院だったんだ」と気付き、転院を申し出ました。そもそもリウマチ科のない病院だったので、仕方がないと思いました。リウマチを見つけてもらっただけでもありがたかったです。
40代くらいの若い院長でした。日本リウマチ学会の名簿には載っていませんでした。
近所のリウマチ専門医1
日本リウマチ学会の専門医名簿に登録されている病院が近所にあったので、そちらで診察して貰いました。
手の腫れ具合を見て「明らかにリウマチだね、結構進んでいるね」と言われてホッとしたのもつかの間、「また1ヶ月後にどうなってるか見るから、1ヶ月後に来てね」と言われただけでした。薬はボルタレンゲルと湿布のみ。
「抗リウマチ剤をすぐに飲まないといけないのでは?」と聞くと、「まあ、様子を見てからね」と言われ、この病院もダメだと瞬時に悟りました。
院長は80歳くらいのおじいちゃんでした。
東京女子医科大学 膠原病リウマチ痛風センター
近所の町医者に見切りをつけ、日本で一位、二位を争うんじゃないかというくらいリウマチ治療で有名な病院を選びました。とにかく早く抗リウマチ剤の治療を始めたかったので、絶対に間違いがないであろう病院を選びました。
初診で即日血液検査、抗リウマチ剤投与のための検査、2回目の受診で抗リウマチ剤の処方、と、トントン拍子に進みました。
診察では毎回、血液検査と尿検査があり、お医者さんは手指や足の腫れを丁寧に触診してくれて、さすが日本一!と、安心できるものでした。治療内容には一切不満も不安もありませんでした。毎回診察に2~3時間かかっていましたが、血液検査と尿検査の結果をその日の診察で使うためなので、必要な待ち時間でした。
初診とその後の担当医はどちらも若い女性で、日本リウマチ学会の名簿に載っているお医者さんでした。
近所のリウマチ専門医2
肩が動かせなくなっていたので、近所でリハビリが出来る病院を探したところ、近所にリハビリが出来るリウマチ科のある病院を見つけました。
リウマチは東京女子医科大学で見てもらい、近所の病院にはリハビリのためだけに毎日通っていたのですが、そのうちお医者さんから、東京女子医科大学で出ている薬はウチでも出せるし、生物学的製剤も使えるから、転院したら?と言われました。
東京女子医科大学に通って数ヶ月経ち、出してもらう薬の量も安定してきていたし、東京女子医科大学は通うのに時間がかかって大変だったので、それも良いかも知れないなと、転院することになりました。
転院してからリハビリも順調に進み、リウマチの状態も安定していたのですが、しばらくするとまた手指や膝が痛くて眠れないようになってきました。
それをお医者さんに伝えると、血液検査の炎症反応はあまり出てない、関節もそんなに腫れていない、痛いはずがない、気のせいだ、他の病気のせいだ、ただの筋肉痛だ、と、私の訴える症状をすべて「気のせい」と取り合ってもらえなくなりました。
気のせいだと言う割に、抗リウマチ剤(MTX)は最大限、ステロイド(プレドニン)も10mgまで出され、それでも状態は回復しなかったので、おそらく私はそのお医者さんの手に余る患者になってしまったのだと思われます。
「そこまで言うなら生物学的製剤使う?MRIでも受けてくる?」と投げやりな言い方をされた時、この病院はもう無理だと思い、他の病院を探し始めました。
お医者さんは日本リウマチ学会の名簿に載っている、80歳くらいのおじいちゃんでした。
関節エコーが出来る病院
私の体質では、血液検査ではリウマチの状態が正確に把握できないので、MRIを受けるのが1番良いのですが、こまめに受けるには費用面や、強力な磁場が健康に本当に影響がないのかなどの不安がありました。
それからネットでリウマチの検査や治療方法を調べて行き着いたのが、関節エコーでした。MRIと比べると精度は劣るようですが、小さな機械で手早く関節の状態が見られるとのこと。
血液検査の結果を見て嘘つき呼ばわりされるのに疲れ果てていたので、関節エコーが出来て、通える範囲の病院で、口コミの評判も悪くない病院を探して見つけました。
その病院でも、最初は血液検査の結果を見て「そんなに痛いはずないんだけどなぁ」と言われたのですが、念のため関節エコーしましょうかと見てもらったところ、リウマチ特有の腫れがしっかりとエコーで確認でき、ようやく「まだ炎症が治まっていないリウマチ」としての治療が始まりました。
抗リウマチ剤はもう上限だったので、生物学的製剤(シンポニー)に切り替えて、現在は抗リウマチ剤とステロイドを減薬している途中です。
この病院は日本リウマチ学会の名簿に載っている、40代くらいの若い先生でした。
病院選びの結論
前提として、関節リウマチ治療はここ数年で大きく変わっています。ステロイドで痛みを取るしかなかった時代から、抗リウマチ剤が使われるようになり、その後、抗リウマチ剤の投薬量も変わりました。
その情報を常にキャッチして、治療に活かしていける医者を選ばなければ、治癒や寛解が見込めたかもしれないリウマチを、慢性化させ、悪化させてしまうかもしれません。
近所の整形外科ではダメなのか?
今はリウマチの発症から2年以内に適切な治療を始めれば、予後が良いという報告がされています。リウマチに詳しくない病院に時間を費やしている場合ではありません。そうなると、ひとまずリウマチの専門医がない整形外科は、よほど良いお医者さんでない限りは、選択肢から外れると思います。
日本リウマチ学会の専門医、指導医なら良いのか?
日本リウマチ学会の名簿に載っているからと言って、リウマチ治療の最新情報を把握できているとは言えないのが、私の経験則です。最新情報について行けているかどうかは、人による、としか言えない状況でした。
強いて言えば、比較的若いお医者さんの方が、診断も治療も、私には適切だったと思います。おじいちゃん先生がダメと言うわけではないですが、私には合いませんでした。私が血液検査で正確にリウマチの状態がわかる体質だったなら、おじいちゃん先生でも十分な治療が受けられたと思います。
関節エコーがある医者が良いのか?
最終的に関節エコーがある病院に行き着きましたが、関節エコーが必須だとは思いません。私のように血液検査に出にくい人には、良い選択肢だと思います。
ネットの口コミは参考になるのか?
インターネットの口コミも、たくさんの書き込みがある有名な病院なら参考になる時もありますが、町医者だと2、3件しか口コミがない場合も多く、それで良い医者かどうかまでは判断できません。
結局、確実な病院はどこなのか?
東京女子医科大学の膠原病リウマチ痛風センターなら、ひとまず適切な治療を受けられると思いますし、MRIや関節エコーなどの検査も可能です。診察もとても丁寧で、信頼がおけるお医者さんでした。
待ち時間の長さやアクセスの不便さがなければ、通い続けたかったです。
ドクターショッピングの是非
結局、実際に診察を受けてみて、医者が新しい治療方法を把握できているのか、把握した上で治療方針を決めているのかどうかを患者側が判断するしかないんだというのが結論です。
そのため、冒頭で言った通り、良い病院が見つかるまでは「ドクターショッピング」をしてしまっても仕方がないと思っています。ドクターショッピングがダメだと言われても、自分の体を一番考えて、一番責任を取れるのは自分自身なので、必要だと思えば転院するしかありません。ダメだという人が責任を取ってくれるわけではありません。
まとめ
発症から2年という短い期間に、どれだけ良質な医療を受けられるかが、関節リウマチ治療のカギです。患者自身が関節リウマチ治療のことを正確に知って、より良い医者を見極めていくことが大切だと思いました。
長文になりましたが、もし今、関節リウマチの病院選びで悩んでいる人がいれば、少しでも参考になればと思います。
辛いですね(病気っていう意味で)。私はこと病気に関してはアンテナを立てるのが下手で、そこまで利発に病院を変えることができませんでした。いいと思って通っていても、とんでもないことで違う病院を探したり。違う病院を探すきっかけが今から考えるとどうでもいいこと(だったのかなあ?でも、精神的な苦痛を考えると変えたのが正解だったかも。患者にも感情があるのでね・・・。)だったので、そのせいか、病状は悪化するばかり。いっそのこと病院に通わなければストレスもないだろうって思いますが、一度始めたらやめられない薬があって、嫌いや通っている状態です。相手も人間、相手にも相性があるだろうし、もしかしてこじれた患者は医者も見たくないのかも?って薄々分かっていますが、かと言ってきっぱり通院をやめる勇気はなく。ああここ先どうしようかなあ?嫌な思いをする病院なんてもう行きたくない。人付き合いでも友人関係でも仕事でもつまづいたことがありませんが、病院という体の弱った状態で通い続けなければならない病院は上手くいきません。知り合いで病院を信用しない、薬も飲まないという(病人)がいますが、そこまで貫くことができない気弱なただの病人に成り下がってしまった。病気になんかならなければよかったとしか(そんな風に思ったことはないのだけど)思えません。。。
海さん
病気が深刻であればあるほど、患者は病院の対応の1つ1つに一喜一憂するし、不信感が生まれてどうしようもなくなることもありますよね。
リウマチ治療はネットで情報を拾いやすいので転院する判断を下しやすかったですが、出産で入院したときの病院が酷くて悩んだ時は、何でこんな目にあわされるんだろうと泣くこともあったので、お気持ちわかります。その時も結局転院して、すごく良い病院に移りました。
どうしても今のお医者さんが合わないと思ってしまった時は、診てもらえる病院が通える範囲に複数あれば、とりあえず電話してみるのも1つの手段です。
きちんとセカンドオピニオン外来するのがが正攻法ですが、現在の病院に診断書を書いてもらわなくちゃいけなくて角が立つし、セカンドオピニオンの病院が今より酷くて転院できなかったら詰んじゃうので、今の病院に知らせるのは転院する病院が見つかってからの方が良いかもしれません。
受付に電話して正直に状況を伝えたら、「そんなので来られても困る」と断られることもありますし(仕方ない)、「じゃあ一度、病気を診せに来てください」と言ってくれる病院もありました。
この状況で健康保険が使えるかどうかは病院が判断することなので、初診は自費になのか、いくらかかるのか、これまでの検査結果を持っていくかの確認などもあるので、先に電話するのがオススメです。嫌な受付がいる病院も避けられます。
初診料が高かったり、検査をやり直したりで多少お金がかかっちゃうのが難点ですが、信用できない医者に今後もお金を払い続ける苦痛を考えたら、今後のために必要な、健全なお金の使い方かなと割り切ってました。
お大事になさってくださいね。
そうなんですね。早速のコメントありがとうございます。
なんだかすごく絶望的な気持ちになっていたのですが、まずは電話で聞いて見ることですね。
とても大切なアドバイス、感謝しております。
病院探しは実際には大変なんですが、ヒントとして受け取ります。
関節エコーで検索していてハッチーさんのこの記事を拝読しました。
私もレントゲンや血液検査では問題なしだったのですが、12月中旬ごろから始まった、膝に水が溜まったり、手足の浮腫みやこわばりがひどいという症状はリウマチなのではないかと思っています。 早期のため検査結果が出なかったのかも。
とても参考になりました。
どうもありがとうございます!
松隈さん、東京女子医科大学のサイトでも、血液検査に出ないリウマチに関節エコーが有効だと書かれているほどなので、検査の際にはぜひ関節エコーのある病院を探してみてくださいね。
私も膝に水が溜まったような違和感がずっとあったので、リウマチの可能性はあると思います。
とはいえ健康なのが1番なので、何も悪いところがありませんようにお祈り申し上げます。