3年前、祖母が88歳になったので、米寿のお祝いに Android タブレットを贈りました。
最初は「ちゃんと使えるかな、無駄になっちゃうかな」と心配でしたが、贈ってから3年間ずっとタブレットを使って、楽しく過ごしてくれているようです。
とはいえ、やっぱり「使ってね」と言ってタブレットを渡すだけでは使いこなせなかっただろうなと思うので、私が渡す前に検討したこと、準備したこと、渡した後のサポートなどについて、お話したいなと思います。
祖母の性格とタブレットの用途
贈る相手の性格をふまえ、贈り物がふさわしいかどうか、事前によく検討してください。
例えば、今の生活に満足していて変化を拒絶する(進歩を敵視する)タイプの人にタブレットを渡しても、十中八九、棚の中に仕舞って使ってもらえないでしょう。
また、極端に電話やメールなどを要求する性格の人には、タブレットを渡すと、毎日毎日連絡が来て相手をせねばならず、送り主の負担になる可能性があります。親孝行、祖母孝行と思って付き合えるなら良いんですが、そのあたりは慎重に考えておいてください。
とはいえ、極端すぎるところがなければ、周りがちゃんとサポートすれば、ちゃんと使ってもらえるんじゃないかと思います。
私の祖母の性格は、こんな感じです。
- ガラケーは番号登録したショートカットのボタンを押すのみ、メールやカメラは使おうとしなかった
- 叔父夫婦と同居しているが、過干渉にならないようにお互いを気をつかっているので、たまに寂しそう
- まだ小さいひ孫たちの成長をみるのが、最近の一番の楽しみ
- 手順が決まっていることは、だいたいできる
そのため、Skypeで顔を見ながらお話ししたり、子供の動画をメールから開いて見てもらえたら良いなと思って、タブレットを贈ることにしました。
タブレットを購入
3年前、祖母用に購入したのは「ASUS MeMO Pad 8」でした。
https://www.asus.com/jp/Tablets/ASUS_MeMO_Pad_8_ME581C/
8インチで大きすぎず、スペックの割に値段も安く、ASUSのタブレットは私も愛用していて安心していたのですが、、、トラブルにあった時にサポート品質が悪く、大変な思いをしたので、あまりオススメできません。
購入当初からマイクの調子が悪く、交換しても改善されず、それでも騙し騙し使ってきたのですが、先日とうとう「Lenovo TAB4 8 Plus」を新たに購入しました。
Lenovoさんのサポートも大して評判が良いわけじゃないんですが、7インチか8インチで、3万円前後で、キビキビ動いてくれそうなものを探して、たまたま見つけたので購入しました。
iPadでも良い?
iPadの購入も一瞬考えたのですが、iPadやiPhoneはちょっと画面を長押しするだけでアプリを簡単にアンインストールできてしまうので、今回は見送りました。子供に間違って消された経験があるので、怖いなぁと。
また、iPadの方が操作性は良いですが、画面のカスタマイズ(ウィジェット)できないので、それもAndroidを選んだ理由の一つです。
購入時の発送先は自分にする
タブレットの発送先を自分にして、相手に贈る前に設定を済ませてください。
スタンドやカバーの要否を検討する
また、Skypeなどでビデオチャットしたい場合は、画面を立てておけるスタンドか、自立できる手帳型カバーなども併せて購入しておきます。
それらがないと、かなりの確率でタブレットを持つ手がカメラにかかってしまい、相手が画面に映らなくなってしまいます。
タブレットのカメラって、ぱっと見でわかりにくい位置にあるので、「カメラから手をどけて!」と言っても、わかってもらえないんですよね。
タブレットの設定
設定方針
贈り相手に起動してもらいたいアプリ以外は目につかないようにする。「あれもこれも使って欲しい」という気持ちは横に置いておいて、「混乱しないように必要最低限のものだけ見せる」ことを心がける。
Googleアカウントを作成
贈る相手のGoogleアカウントを作って、タブレットを設定してください。自分のアカウントを共有するより、クレジットカードの情報などを入れていない、まっさらなアカウントを使ってもらった方が安全です。
アカウントのパスワードを再設定する時のために、再設定用のメールアドレスに自分のメールアドレスを設定しておいてください。
また、最近は子供のスマホを保護するために、Googleが「ファミリー リンク」というサービスを日本でも開始しました。贈る相手を子供としてアカウント作成し、自分を保護者にしておくことで、アプリの購入やネットのアクセスをコントロールすることができるようになります。
私はまだ利用していないので、これ以上の説明はできないのですが、悪質なサイトやアプリからタブレットを保護するのにとても良いと思って紹介しました。
https://families.google.com/intl/ja/familylink/
できるかぎりアンインストール&通知OFF
ひとまず、できる限りのアプリをアンインストール、もしくは「無効」にします。ただし、「Google 〜〜〜」というように、Googleから始まっているアプリは変更しないようにしてください。Googleの開発者サービスなどを変更してしまうと、操作中によくわからないメッセージが多発して、贈り相手が混乱します。
また、使用する予定があるアプリ以外は、「通知を表示」のチェックボックスを外しておいてください。通知メッセージが表示されるたびに、相手が不安になってしまいます。
遠隔操作アプリをインストール
贈り相手が遠方に住んでいて、なかなか会えない場合は、遠隔操作できる様に「TeamViewer」というアプリをインストールし、自分のパソコンから操作できることを確認しておいてください。個人利用は無料です。
https://www.teamviewer.com/ja/
タブレット上でTeamViewerを起動してもらい、こちらから接続する時に「許可」ボタンを押してもらう必要があります。贈る時に、操作方法を説明して、何度か接続テストをしておいてもらうと良いです。
フォントサイズを大きくする
小さな字をみるのが煩わしい人に対しては、フォントサイズを大きくしてあげてください。大抵のAndroidタブレットなら、設定 >画面設定 >フォントサイズ から変更できると思います。
スリープ時間の設定
スリープ時間はデフォルト設定で1分や5分のように短くなっている場合があります。高齢の方は比較的ゆっくり操作するので、30分くらい、長めに設定してください。
ホーム画面のアイコンをすべて削除
いったん、すべてのアイコンやウィジェットをすべてホーム画面から削除します。後から、直接起動するものだけ追加するのですが、画面に残っているとあれもこれも残したい気持ちになってしまうので、最初にすべて削除してしまいましょう。
バックアップの設定
Androidのバックアップ機能で、アプリの状態をバックアップしておきます。設定 >バックアップとリセット >データのバックアップ をONにしておくと、自動でバックアップしてくれます。
使用してもらうアプリのインストールと設定
ここからは、私が祖母向けにインストールしたアプリについて、説明していきます。
祖母に使ってもらうのは、この3つだけです。
- Skypeで
- メールで動画共有
- Google フォトで写真共有
Skypeのインストールと設定
Skype は購入直後のタブレットに最初からインストールされていますが、ない場合は Google Play からインストールします。
贈り相手のアカウントを作成して、Skype にログインし、祖母が連絡をしたい相手のアカウントをあらかじめ登録しておきます。もし、今後新たに「○○さんも追加したい」というような要望が出た場合は、遠隔操作で登録してあげるか、登録したい相手に登録作業を代行してもらうよう頼んでもらう予定です。
Skypeの連絡先をホーム画面に表示
Androidにもともと入っている連絡帳アプリとSkypeの連絡帳を連携させると、連絡帳のウィジェットからSkypeに電話できる様になります。タブレットのメーカーやAndroidのバージョンによって操作方法が異なるので、手順はそれぞれ調べてみてください。
連絡帳アプリと同期ができたら、Skypeで電話をかける予定がある人のぶんだけ、ホーム画面にウィジェットでアイコンを作成して置きます。
こんなふうに、ホーム画面からSkypeをかけられるようになります。
※このキャプチャは自分のタブレットで再現してみたものなので、実際はちょっと違います。
Skype手順書作成
操作に必要な最低限の3つの手順を、画面キャプチャをペタペタ貼り付けて説明書を作ります。
- 発信:ホーム画面の電話相手の名前をタッチして、ビデオカメラっぽいマークをタッチ
- 応答:画面に表示されているビデオカメラっぽいマークをタッチ
- 切断:画面の真ん中を、ちょんっと触って、出てきた赤い受話器のマークをタッチ
渡す時に、何度かSkypeをかけてもらったり、応答してもらっておくと良いですね。
メールの設定(動画の閲覧)
私は子供の動画を撮影すると、Youtubeに限定公開でアップロードして、両親や親戚にURLをメールで送っています。
祖母にもメールから動画を見てもらえると楽なので、メールを受信できるよう、メールアプリに祖母のアドレス(最初に作ったGoogleアカウントのメールアドレス)を設定しました。
こちらは簡単なので、手順書は作らず、実際に送られてきた動画を開いて見てもらったり、閉じたりを一緒に操作して覚えてもらいました。
メールアプリのアイコンもホーム画面に設置しておき、メールが届くとバッジで気がつくようになっています。
写真の設定
私のiPhoneでは、撮った写真が自動的にGoogleフォトに保存されるので、そこから祖母に見せたい写真だけ、祖母のアカウントに共有するようにしました。
ホーム画面にフォトのアイコンを設置しておきます。
Googleフォトを使うと、わざわざアプリをインストールしたり、アカウントを作る必要がないので、簡単です。
細かいこだわりがなければ、動画もGoogleフォトに保存されるので、写真と一緒に共有できます。
こちらも手順書は作らず、タブレットを渡すときに、「この風車の絵を触ったら写真が見れるよ、新しい写真が増えるから、たまに確認してね」と言ってあります。
ホーム画面の最終的なアイコン
キャプチャを残しておけばよかったんですが、こんな具合です。
- Skype連絡相手のアイコン 3人分(母、兄嫁、私)
- Gmail
- Googleフォト
Skypeのアプリ本体や、YouTubeアプリ、連絡帳は、実際に使ってはいるのですが、直接起動することがないので、ホーム画面からアイコンを撤去しています。
また、せっかくなので親戚一同で撮った写真をホームの壁紙に設定しました。
祖母宅のWifi事情
叔父夫婦がインターネット回線を引いているので、それを使わせてもらっています。外出先で使うことがないので、SIMは使っていません。
もし叔父夫婦のWifiがなかったとすれば、格安SIMのデータ通信のみを契約したと思います。通話用SIMではなく、データ通信専用SIMだと、ちょっと安いです。
Skype?LINE?ハングアウト?どれが良い?
ビデオ電話の機能を持つアプリはたくさんありますが、贈り相手の周りでよく使われているアプリに寄せることが大事だと思います。
たとえば叔父叔母はFaceTime、母と兄嫁はLINE、私はViberのように、メインで使っているアプリがみんなバラバラなのですが、全員共通してSkypeはインストール済みだったことを確認できたので、祖母のタブレットにはSkypeを使用しました。
3年間の祖母のタブレット利用状況
今のところ、ほぼ毎日、タブレットを使ってくれています。
月に一度は Skype をかけてきて、
YouTubeで共有した動画は、繰り返し毎日見て、
ついでにYouTubeで、子供の動画の横に勝手に表示されるオススメ動画をランダムに見ているようです。
とくにリアルタイムで子供の成長が見れる動画共有は、毎回新しい動画をアップロードするたびに「かわいいね、おもしろいね」と連絡をしてくれて、喜んでもらえているようです。
Skypeも、私だけではなく母と兄嫁が頻繁にかけてくれているようです。受信音に気づいてもらえないことがよくあるので、Skypeをかけるまえに、いちど電話をかけて「Skypeかけるから出てね」と連絡するようにしています。
先日、新しいタブレットをセットアップするために、祖母のアカウントでYouTubeを開いた時に、視聴履歴を開くといろんな動画を見ているようで驚きました。特に最近は「○室圭」さんの皇室ゴシップネタを片っ端から見ていたようで・・・。
せっかく活用してくれているようなので、次に会った時には、祖母が「遊べる」ようなアプリを入れたいなと思っています。
高齢者にタブレットを贈る時の留意点
ここまでに挙げたとおり、高齢の方が戸惑わずに使える工夫や設定もさることながら、やっぱりちゃんと使ってもらおうと思うのであれば、相手が喜ぶコンテンツを用意すること、そして、時々で良いので、タブレットを使って楽しく会話をすることが重要なんじゃないかなと思います。
物だけ送って「使ってね」では、贈り物として寂しすぎますよね。
タブレットを使って、より良い時間を贈り相手と過ごしたい、という気持ちを贈れば、高齢者の方でもじゅうぶんに使ってもらえると思います。