90歳の祖母に iPhone を渡して、FaceTime でビデオ通話が出来るようにしてみました。
コロナで帰省や病院へのお見舞いがままならない今の世界、祖父母や両親と電話だけではなく「できれば顔を見て会話をしたい」と思っている人は多いのではないでしょうか。でも高齢だし使いこなせるのか、そもそも使ってもらえるのか心配・・・、という気持ち、よくわかります。
この記事が、そんな人の参考になれば幸いです。
祖母に iPhone を渡した経緯
祖母が85歳の時、Skype で祖母と話すために、Android のタブレットを渡していました。
その時に考慮したこと、設定したことなどは、こちらの記事にまとめています。
祖母の家では伯父が引いた Wi-Fi を使えたのですが、祖母が老人ホームに入居すると Wi-Fi がなくなり、これまでのタブレット(Wi-Fi専用機だった)が使えなくなってしまうため、通信環境を見直す必要が出てきました。
モバイル Wi-Fi を新しく契約して、これまでのタブレットと一緒に使うことも考えましたが、単純に機械が2台になると、祖母が混乱してしまう原因になるし、Wi-Fi 接続で余計なトラブルが起きることを考えると、SIMが使えるタブレット、もしくはスマートフォンに買い換えるほうがシンプルだと考えました。
その中で最終的に iPhone を選んだのは、ただ単に、格安で中古の iPhone を売っているのを見かけたためです。なんと1万円。
購入した iPhone スペック
こちらの「にこスマ」というサイトで、「【超美品】 iPhone SE 16GB SIMフリー Aグレード 電池状態:92% ゴールド #iPhone SE × 1」として売られていました。
届いた商品は中古とは思えないくらいピカピカで目に見える傷がほぼなく、電池の劣化も商品説明通り、ボタンの接触不良なども無しでした。
購入者のレビューのほとんどが「状態が良い、問題ない」と言っているので、良いものを売ってくれるお店なんだと思います。
https://www.nicosuma.com/
契約した格安SIM
祖母の老人ホームがデータエリア内であること
上限2GBくらいで1000円を越さないデータSIM
初年度だけ安いプランは除外
上記の条件で探して見つけたのは、HISモバイルの「ビタッ!プラン」。100MBで180円から始められ、その後2GB、5GB、10GB・・・と使用した通信量に合わせて段階的に月額料金が変わります。
このプランの良いところは、最低料金が安いだけでなく、毎月の通信量の上限を設定できるため、使いすぎで高額になってしまうのを防げるところです。
祖母が iPhone を使えるかどうかわからない中、もし使えなくても180円しかかからないので、急いで解約する必要がなく、使いすぎても、上限を設定してかけすぎを防げるという点で、HISモバイルに決めました。
祖母がバリバリ使いこなせるようだったら、通話 SIM に切り替えて電話が使えるようにしたり、また使い放題のプランなども検討していきたいです。
祖母のiPhone利用方法
祖母用に使い方のポスターを作り、自室の壁に貼ってもらいました。
出来ることは3点、FaceTime をかけること、FaceTime にでること、写真をみること。
FaceTime をかける時はホームボタン長押しで「○○にフェイスタイム」というだけで繋がります。祖母にとって一番のハードルは「フェイスタイム」という言葉を覚えてもらうことです。
連絡先のメンテナンス(追加や修正)は、私が iCloud から遠隔で行います。
それ以外の機能は、勿体ないですが使えないようにしています。機能を残せば残すほど、祖母には扱いが難しくなる上、トラブルが起こりやすくなります。
祖母の iPhone の設定
上記以外の機能が利用できないよう、アプリを片っ端から削除し、残ったアプリも通知などが出ないように機能を制限していきます。
1. Apple ID の用意
祖母専用の Apple ID を作成し、iPhoneの持ち主として登録しました。IDの管理は本人ではなく、私が行います。
2. Touch IDとパスコードの無効化
iPhone SE なのでホームボタンの Touch ID が使えますが、指が乾燥している人は認識されにくいため、外してしまいました。盗難リスクなどを考えると、ロックをかけたいところですが、祖母の使いやすさを優先させました。
「Touch IDを使用:」すべての項目をオフ
「パスコードをオフにする」を設定
3. アプリの削除
FaceTime と写真、連絡先、設定以外のアプリで削除できるものは片っ端から削除しました。アプリを1つ残すたびトラブルが1つ増える!という気持ちでザクザク削除しました。
唯一消さなかった例外は、カメラアプリです。もし祖母が老人ホームでお友達や会いにきてくれた人と写真を撮りたい、と思った時、カメラが使えないのは勿体ないなぁ・・・と、トラブル覚悟で残しました。
4. FaceTime の設定
FaceTime には「着信用の連絡先情報」という設定項目があり、ここに祖母の Apple ID を設定します。
「着信用の連絡先情報」に祖母のID
ここには、SIM の電話番号か Apple ID のどちらかが設定出来ます。データSIM にも「020」から始まる電話番号があり、その番号でも FaceTime を着信出来ます。
ただ、この先 SIM を別のものに乗り換えて電話番号が変わってしまうと、連絡先の人たちに自分で「電話番号が変わったよ、今後はこちらにかけてください」と言わなければなりません。
祖母がその連絡をするのは難しいので、今後変わることがないであろう Apple ID を設定しておく方が、手間がなくて安心です。
5. Siri の設定
Siriの呼び出し方は、“Hey Siri” の呼びかけではなく、ホームボタンの長押しにしました。
祖母が “Hey Siri” と呼びかける姿も見てみたかったんですが、新しい言葉を覚えてもらうのは大変なので、ボタンを長押しする方がまだ覚えやすいかなと。
設定> Siriと検索>
「“Hey Siri”を聞き取る」の項目をオフ
「ホームボタンを押して Siri を使用」をオン
6. ソフトウェアのアップデートを無効化
SIM の通信量の節約と、余計なトラブル回避のために、アップデート関連は無効にします。
「iOS アップデートをダウンロード」をオフ設定> 自分の名前> iTunes Store と App Store
「自動ダウンロード」の項目はすべてオフ
これらのアップデートは、アップデート内容を確認してから、私が祖母に会える時にメンテナンスとして行う予定です。
7. スリープ解除と自動ロック
祖母が自分でロック(スリープ)するのは難しいので、自動ロックをかけます。また、iPhone を手に取った時、すぐに使える状態だとわかりやすいように、画面が点灯する設定します。
「自動ロック」を5分に設定
「手前に傾けてスリープ解除」をオン
ついでに、文字の大きさを少しだけ大きめにしました。
8. 壁紙に祖母が一番好きな写真を使う
iPhone を手に持つだけで嬉しい気持ちになるよう、壁紙にひ孫たちの写真を設定しました。
ロック画面とホーム画面、それぞれにひ孫たちの写真
9. 通知は FaceTime 以外すべてオフ
FaceTime 以外のアプリは全て「通知を許可:」をオフにしました。
また FaceTime も「通知センター」はオフにしました。
10. iCloud の設定
iCloud で遠隔からメンテナンス出来るよう、写真と連絡先のみオンにします。
「写真> iCloud写真」をオン
「連絡先」をオン
「iCloudバックアップ」をオン
上記以外はすべてオフにしました。
11. iPhone の物理的な工夫
手の力が弱っているので、落とした時にすぐに壊れないよう iPhone にカバーをかけました。
また、iPhone の側面についているサイレントスイッチが間違って切り替えられないよう、ビニールテープで覆って触れないようにしました。
祖母への渡し方
祖母に直接送っても困らせてしまうので、母に送り、祖母のところに持って行ってもらいました。
祖母が日常的に手に取れる場所に iPhone を置き、電源をつないでもらいます。
そして、使い方のポスターを壁に貼ってもらい、ポスターをみながら何度か FaceTime をかける練習をしてもらう・・・予定だったのですが、コロナで面会時間が15分しかなく、置いてくるだけでタイムアップでした。
その後の祖母
元々持っていた携帯電話で私に電話をしてきてくれたので、電話で通話しながら、ポスターの「電話に出るとき」の手順を見てもらい、私からかけた FaceTime に出ることができました。
さらにその後、祖母はポスターの「電話をかけるとき」の手順を見ながら、一人で母に電話出来たようです。
「こんな風に顔を見て話ができて、幸せで涙が出るわ」
と祖母が言ってくれたので、頑張って色々と用意して良かったなぁ、と思いました。