横浜市が実施する「3歳児健診」の歯科健診で、子供の「反対咬合」が経過観察として指摘されました。
私自身が子供の時に反対咬合だったこと、また健診の前から「うちの子、受け口気味かも・・・?」と思っていたので、指摘された時は「やっぱりな」という気持ちでした。
ネットで子供の反対咬合について調べてわかったことは、
- 子供の反対咬合は自然に治る確率は低いこと
- 乳幼児のうちなら、ムーシールドというマウスピースで比較的安価に治療できること
- 反対咬合のまま育つと上顎の発達を阻害するので、顔の中心が凹んだ顔になりやすいこと
などなど。とくに3つ目の顔の中心が凹む現象、私も小学校3年生の時に反対咬合の治療をしたのですが、凹んでいた形跡は残っています。ちょっとバランス悪いな〜・・・程度ですが。
これはすぐに治療するしかないでしょう!ということで、歯医者さん探しを始めました。
先日、めでたく子供の反対咬合の治療がひと段落したので、病院選びや治療内容、経過について、紹介したいと思います。
小児歯科選び
歯医者さんを選ぶ際、気をつけたことは次の点でした。
- 小児歯科として良い口コミが多いこと
(子供の扱いが上手い、気配りをしてもらえるなど) - サイトなどで“乳幼児の矯正”をアピールしていること
意外とこの二つを満たしてくれる歯医者さんが見つからないもので、近所では全滅でした。特に「矯正」を掲げている歯医者さんでも、乳幼児の矯正は一応してますけれど反対咬合は・・・というスタンスのところが割と多かったので、診察を受ける前に電話で確認することをおすすめします。
矯正の治療は、特にトラブルがなければ月1回くらいの通院で良いはずなので、家からの距離を諦めて、バスで10分くらいの場所にある歯医者さんに決めました。
徒歩10分圏に「小児歯科」を掲げている歯医者さんがたくさんあるので、時々「近い方がよかったかな・・・」と思ってしまうことはありましたが、今の歯医者さんは子供の扱いがうまく、またバスで通う特別感が子供には良かったらしく歯医者に行くのを楽しみにしているので、近所の小児歯科の文字は視界に入れないようにしています。
ムーシールドとは
口に咥えると、上唇を柔らかく広げたり、舌が正しく上顎を押すようになって上顎の発達を促してくれるという、マウスピースです。
「受け口」と言うと何となく下顎の問題のように思いますが、この装置を見ると上顎の問題なんですね。咥えている時は、上唇がびろーんと伸びています。
正しい解説は専門家のサイトをどうぞ。
http://www.kyousei-shika.net/kyousei_html/care/souchi-28.htm
実際に歯医者さんからこのムーシールドをもらってきた時、マウスピースの横にうすーく「YC3 YANAGISAWA」と書かれていて、「あれ?ムーシールドじゃないの?偽物??」とびっくりしたのですが、調べてみるとちゃんと正規品だったようで安心しました。柳澤さんという方が考案されたようですね。
骨格性反対咬合の早期初期治療-筋機能訓練装置:ムーシールド(YC3)
治療の方針と費用
初診の際に、子供の歯を見てもらいながら、このような治療方針に決まりました。
- 反対咬合はムーシールドを使って直す
- 矯正中は虫歯ができやすいので、奥歯にシーラントという詰め物をして虫歯を防ぐ
- 現段階で上下とも歯の隙間が狭く、永久歯が生えてくると歯並びが悪くなりそうなので、反対咬合のあとは顎を広げる矯正をする(床矯正)
費用は、ムーシールドでだいたい5万円、その後の顎を広げる矯正を上下で20万円くらいです。ムーシールドと床矯正をまとめて払うとお得な歯医者さんだったので、治療前に一括で支払ったため、個々の治療の料金詳細はよくわかりません。
月に一度の通院では、
- 歯磨きの磨き残しチェック
- 反対咬合の改善具合のチェック
- シーラントが剥がれていないかをチェック
- ムーシールドの破損などがないかをチェック
- MIペーストという口腔ケアクリームの塗布
を一通りやってもらって、保険適用で800円ほど。
初回のみ、レントゲンを撮ったり歯の型取りをしたりで、もう少しお金がかかってたと思うのですが、金額は忘れてしまいました。
通院の頻度
基本は月に1回だけです。
最初だけ、虫歯予防のシーラントを上左・下左・上右・下右それぞれの奥歯に詰めるため、週に1度くらいで通っていました。
一度にしてもらえらた1回で済むんですが、保険が適用できるのが一箇所ずつという理由で4回に分けているそうです。
治療の経過
まず、ムーシールドってものすごく大きいです。こんな大きなものが子供の口に入るの??と驚くほど。
特にうちの子は、成長曲線の下を這うような成長具合で顔も小さかったこともあり、最初は口に入れるのが少し大変でした。そのため、ムーシールドを口に入れていられるようになるまでに、とても時間がかかりました。
その反面、口にさえ入れていられるようになったあとは、治療の成果が出るのが早かったです。
ムーシールドの手入れ
毎晩、子供とお風呂に入っている間に、入れ歯用洗浄剤で洗っています。
入れ歯用洗浄剤というと、頭に浮かぶのはだいたい「ポリデント」と「タフデント」の2種類だと思いますが、うちでは「タフデント」を愛用していました。ポリデントよりタフデントの方が、ムーシールドに張り付いたヌルヌルが剥がれやすい気がします。
歯ブラシなどを使うとムーシールドに傷がつき、ばい菌が繁殖しやすくなりそうだったので、タフデントに浸けたあとは、手でこすり洗いをしていました。
一度、間違えてタフデントの「強力ミントタイプ」を買ってしまったのですが、子供が「口が痛い」と言って寝つきが悪くなるので、ご注意ください。よくすすげば、何とか使えるのですが。
月ごとの経過
最初の1ヶ月は、1日30分、寝る前に口に入れておくので精一杯でした。
2ヶ月目、寝る前に1時間くらいは口に入れていられるようになりましたが、寝る時は気になって眠れないらしく、外して眠っていました。寝ている時にムーシールドを咥えさせてみましたが、10分もたたずに吐き出していました。
3ヶ月目、ようやくムーシールドを口に入れたまま眠れるようになりましたが、寝付いてすぐににプッと吐き出してしまう状況でした。
4ヶ月目、ムーシールドを咥えたまま朝まで眠れる日が、週に1回、2回と増えていきました。
5ヶ月目、ほぼ毎日、朝までムーシールドを咥えていられるようになりました。それ以降は、風邪などで鼻づまりがひどくない日以外は、だいたいムーシールドをつけて眠っています。
6ヶ月目、子供が笑った時などに、ふと受け口が治っている瞬間があるのを見かけるようになりました。まだほとんどの時間は受け口なのですが、たまーに正しく上の歯が前に出てきていることが確認できました。
8ヶ月目、反対咬合をほとんど目にすることがなくなりました。子供がわざと受け口にする時以外、自然と正しい噛み合わせになっていました。
10ヶ月目、歯医者さんで、ひとまず反対咬合の治療は終了と診断していただきました。
3歳の子供と歯医者さんとムーシールド
これまで子供には虫歯や他のトラブルがなかったため、反対咬合の治療が初めての歯医者さんでした。
治療を始めるまで、子供が歯医者さんを怖がるだろうな、ムーシールドを付けることを嫌がるだろうな、何て言って付けさせたら良いんだろう、などを悩んでいたのですが、意外なことに全く嫌がることがありませんでした。
最初に歯医者さんに行く際も、子供に鏡を見せて、「今からお口の中を見てもらいに、歯医者さんに行こうね。○○ちゃんの歯は、下の歯が前に出ているんだけれど、上の歯が前に出ている方が良いんだって。こんな風に(私の口で受け口と正しい噛み合わせを見せながら)。だから歯医者さんで治してもらおうね。」と、変に脚色することなく事実をそのまま伝えたのですが、子供は「そっかー。じゃあ歯医者さんで治してもわらわないといけないね。」と素直に受け止めてくれました。
実際に歯医者さんに行くと、診察台や周りの器具が面白かったのか、口を開けて中を見てもらったり歯型をとったりする際もかなり大人しく、むしろ興味津々で臨んでいました。治療後は「上手にできたね!」と褒めてもらって、鼻高々。
また、ムーシールドが大きくて咥えにくそうにしてはいましたが、特にグズることはなく、なんとか自分で咥えられるよう頑張っていました。
おそらく3歳という年齢は、治療をする理由を正しく理解できて、治療を頑張ろうと思える素直さがある年齢なんだと思います。
もし、このサイトをご覧になられた方がお子様のムーシールド治療を迷っているようでしたら、多少のお金と時間はかかってしまいますが、正しい咬合という一生の宝物を得るために、ぜひ前向きに検討してあげて欲しいです。